アトピー湯治移住⑮息子、中学生になって初めて中学校の中へ

7月の「湯治留学体験」の際には「学校を見てみようかな」という心境に至らなかった息子。

9月から「湯治留学移住」して、身体が回復してくるにつれ、「よくなってきたね」と声をかけてくださる町民の方々の影響もあってか、「学校」という単語がたまに息子の口から出るようになりました。

息子がその気に至るまで

豊富(とよとみ)町に移住して1か月ほど経ったころでしょうか、そんな息子を車に乗せ、温泉に行く前に、試しに学校の前をゆっくり巡ってみると「おぉ~! 立派だね」と感嘆の声を上げました。

立派でしょ。

外から見るのと、中に入った時の印象が違うんだよ。

中は木がたくさん使われていて、明るいの。

息子も、いつか入ってみたらいいよ。

息子
息子

うん、入ってみたい!

そんなやりとりがあったことを、担任の先生にお伝えしてみたら

担任の先生
担任の先生

いつでも、どうぞ!
夜の学校探検もできますよ。

とありがたいお返事。
それを息子に伝えると、パッと目が輝いたんですが、「じゃあ、〇日に!」ということはなく。

そんな折に先生から、こんなお電話をいただきました。

今度、学力テストがあるんですよね。

おうちで受けていただくこともできるのでどうかな、と。

ただ、360円かかるので。

どうされますか?

う~ん、どうでしょうね。
受けるのは難しいかな…。

…こんなふうにお返事をして、お電話を切ってから、私は反省することになります。

息子に学力テストがあることを報告すると

受けるか。

教科書を見ながらやってもいいんでしょ。

なるほど!

ごめん、勝手に「嫌かな」と思ってしまった。

学校に電話するね!


息子の意思を確認せずに判断してしまった、自分を悔いました。
すぐに学校にお電話して訂正させていただいて、後日再び先生からお電話をいただきました。

急なんですけど、明日、テスト用紙と教科書をお渡ししたいので学校にいらしていただけますか?

もし、息子くんも来られるようなら、校内を案内できますよ。

放課後に学校へ

「おれが行ったら、先生が喜ぶよね」
息子も行く気になった当日。

放課後に学校に行くと、玄関に下校する中学生たちとスクールバス。

息子はその集団を避けるように、違う方向へ歩き出しました。

あらあら。
これじゃ、ピンポンできないじゃないか。

そこで、先生にお電話。
(いやー、携帯電話って本当に便利ですね)

学校には着いたんですけど、玄関に生徒さんたちがいっぱいで。
なんか、本人が入りづらいみたいなんですよね。
スクールバスが発車したら、入れるかなと思うんですけど。

あ、そうなんですね。

そしたら発車時間になったら玄関でお待ちしています!

というわけで、体育館の方まで息子と学校の外を散策。
「アリーナ(体育館)は丸いんだね」
「ここから入れるのかな」
など外から建物を観察して、玄関の方へ戻ってみると、ちょうどスクールバスが走り出していきました。

担任の先生とご対面

玄関に行くと担任の先生が外まで出てきてくださっていました。
自己紹介し合って、中に入りました。

すると校長先生登場!
校長先生にもご挨拶して
「こちらの畳の部屋にどうぞ」
と担任の先生に案内されたお部屋は小上がりのような和室。

和室もあるんだ!
外が寒かっただけに、中に入ると、その暖房の温かさにほどけていきました。

豊富はどう?

慣れた?

豊富のおうちが、とてもいい!

息子にとっては、今住んでいる家が「最高の場所」になっているんだな。
そりゃ、よかった。

少しお話をした後、先生から、在学中使わせていただけるiPadが息子に授けられました。
キーボード付きの立派なカバーがついていて、息子、感動。
早速起動して、数学、英語、国語はその場でいくつか問題をやってみました。

校内を満喫

じゃあ、校内探検に行こうか!

先生に促されて、和室の外へ。
和室の隣のホールでは吹奏楽部が活動中のようで、楽器がたくさん見えました。
1年生のホームベース(教室)を目指し、階段を上がって2階へ。

ドアも黒板もない開放的な作りの教室は、朝の会、帰りの会と給食を食べる時にのみ使われるのだそう。
理科や家庭科などだけでなく、国語や数学なども各教科の教室があって、時間割に合わせて移動するとのこと。

「人文研究室」「数学研究室」など「研究室」と名の付くお部屋があったり、その近くに絵本がたくさん並べてあったり、オープンな掘りごたつ式スペースがあったり、彫刻が施された壁のある小さなステージがあったりもして「これはすごいな」と思わず声が出ました。

息子は自由に歩き回り、チョークを持って黒板に書いてみたり、暗い所にもどんどん入っていったりしながら、何周したでしょう…時折「疲れたー」と言いながらベンチに座り、中庭を眺めながら「ここ、好きだ」と呟きました。

バレー部が活動しているアリーナ(体育館)に入りたい気持ちがあるようで、何度もそちらに行きかけるのだけれど、隙間からのぞくというのは違うようで、バレー部の活動終了まで待機させていただいて。
アリーナに入るとステージに上がって舞い、走り回り、ボールを投げ、らせん階段を上り、器具庫にあった和太鼓をたたいて…「確かに丸いね」とこの建物を外と中から見た形を、頭の中で照合させたよう。

教頭先生にもお会いできて、最後は担任の先生と教頭先生にお礼を申し上げて帰ってきました。

昔のトラウマも出てきたけれど

「疲れたー!」
「中学生、怖かったー!」
「昔、おれだけ跳び箱飛べなかったことを思い出して悲しかったよ」

先生のご協力により、学校で1時間40分過ごした息子は、心身に刺激を受けて帰ってきました。

「そっか、怖かったか」
「じゃあ、中学生がいない時間なら、また行けそう?」
聞いてみると「うん」と返ってきました。

息子が安心して過ごせる場が増えそうです。

【関連記事】豊富町に移住して、私だけ中学校にご挨拶に行った時のお話はこちら。

「こうでなくては」というのは、思い込みであることが多いということを、息子に日々教えられています。
心配、不安…私たち大人は、子どもを信じて、手放すと楽になれることが結構あります。
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