「ヒポクラテスの格言」というものがあります。
その中に
「人間は誰でも体の中に百人の名医を持っている」
「病気は、人間が自らの力をもって自然に治すものであり、医者はこれを手助けするものである」
「私たちの内にある自然治癒力こそ真に病を治すものである」
といった言葉があります。
私もアーユルヴェーダを学んだ折に「自分の最高の名医は『自分』」と教わりました。
誰にでも「内なる名医」がいる
自分が病気をしたことで、病院によって全く対応が違うことを知った私は、息子の病院選びでもとても悩みました。
私の記憶では皮膚科5か所、小児科7か所に行ったことがあります。※お引っ越しもしています。
ほとんどの病院で、塗り薬や抗アレルギー薬を出されたのですが、そのたびに私はモヤモヤ。
私の内なる名医は「内側に問題があって外に出てきているものを、外から抑え込んでも意味がない。抑えてしまったら内側でくすぶり続け、再爆発するだけだ。せっかく何かを知らせてくれているのに、それを抑えていたら、見えなくなってしまうものがあるのではないか」と言ってくるのです。※考え方も症状も人それぞれです。これは我が家の場合です。
現在通っているクリニックは、そんな私たちがようやくたどり着いた病院です。
アトピーって、1回病院に行ったら解決!というものでもないですから、お医者さんの考えと自分の内なる名医の考えが、同じ方向かどうかはとても大事だと思います。遠ければとてもストレスになるし、近ければとても心強い味方になります。
たくさんある病院の中から、どの病院を選ぶか、もしくは選ばないか。
病院選びに悩みに悩んだ、我が家の経験を書いてみます。
アレルギー検査をするか、しないか
アトピーと診断されて、アレルギー検査をする病院も、しない病院もあります。
検査をするといっても、どこでも同じ検査をされるわけではなく、どんな検査をするか病院によって異なります。
「アレルギーの血液検査には意味がないよ」というお医者さんもいらっしゃいます。
我が家の場合は、検査した病院は全て血液検査でしたが、検査項目が決められている場合(その項目も病院によって違います)と「自分で選んでください」と言われるパターンがありました。
ホームページや問診などからもそのお医者さんの考えはうかがえますが、検査する・しない、どんな検査をするか、何故するか、検査結果を見ての対応のしかたといったことからも違いが出てくるなと感じました。
検査結果はどう生かされる?
息子はマルチアレルギーなので(リーキーガットなんだろうからしょうがない)、ほとんどの項目が陽性です。
たいていの病院では「マルチアレルギーすぎて、この結果を反映しようとすると食べられるものがなくなる。アトピーは命に別条があるものでもないし、制限しすぎると成長の妨げになる」と心配されたのでしょうね、あまり食事制限をされることはありませんでした。
小麦、卵、牛乳、甲殻類に関しては、蕁麻疹など明らかな反応が出ていたので「じゃあ、控えておきましょうか」ぐらいの対応。
実際、それで解決する人もいるのかもしれません。成長とともによくなった例も聞きますし。
だけど、我が家はそれでは発作的な痒みも、湿疹も収まることはなくて、小麦、卵、牛乳、甲殻類以外の何か原因があるはずだ!と私は思い続けてきたわけです(我ながら闘いモード全開ですな。今思えばそれも原因なんだけど)。
病院でよくされる血液検査は「即時型アレルギー検査」といって、すぐ症状が出るもの。
調べてみたら「遅延型アレルギー検査」というものもあると知りました。
自分でもできるようですが、何だか自信がなくて、検査ができる分子栄養学の先生のお世話になりました。これで何か分かるかな、とワクワク。
息子の指先から採った少量の血液をアメリカに送り、結果が来るのを心待ちにしました。
しかし、そこでもまんべんなくアレルギーと出て、結局「リーキーガットだしね…」と再確認しただけで終わってしまいました。
息子は採血が大嫌いです。それでも覚悟を決めて採血し検査してもらったのに、その結果が生かされないようなもどかしさがありました。
何を優先させるか
今のクリニックに通うようになったのは、実はこのアレルギー検査後の対応がほかとは違うようだ、と実際通院している友人から話を聴いたのがきっかけでした。
その友人のお子さんはアトピーではなく別の病気でしたが、大きな病院でなかなかよくならなくて、今のクリニックに転院。アレルギー検査をして「クッキーやパンは避けているけど、うどんは食べていいと言われた」とのこと。
小麦アレルギーならクッキーもパンもうどんも食べられない、と思っていた私は「そんなに具体的にアドバイスしてくださる先生もいるのか」と興味を持ち、そのクリニックに問い合わせて通院が始まったのでした。
行ってみたら、我が家の場合はめちゃくちゃ食事制限されました。
お米は指定されましたし、砂糖、油は控えるように。お肉は健康的に育てられた鶏肉か豚肉を少量。お魚も大きいお魚ではなく小魚で、青魚ではないもの。大豆アレルギーもあるからお味噌は2年以上醸造したものにするように。
実はほかにもまだありましたが、長くなるのでこのぐらいで。
つまり、それまでの病院とは全く異なる対処をされました。このことをほかの病院で言うと驚かれますし、十分に栄養を取れていないのではないかと心配されます。
でも、それまでの除去程度でかゆみや湿疹が解決できていないのが現実。息子の体がうまく消化できないものを食べさせて、負担をかけ続けることに抵抗がありました。
何を優先させ、何を選ぶかも人それぞれ。自分で決めていい。
今のクリニックでは、栄養について心配なものは、自然由来のもので補給するように提案していただきました。
そして「息子くんはハイオク車なんだよ。軽油とかレギュラーガソリンは要らないの。体に合ったものを食べていたら大丈夫だから」と息子自身もマルチアレルギーにネガティブイメージを持たないようアドバイスしてくださいました。
質問すれば答えてくださるし、私が使っているものについてお話すれば、検索して「これ?」と確認してくださいます。この先生とはコミュニケーションできるし、目指す方向が同じだと感じたので、私はここでアドバイスを受けながら治療していくことを決めたのでした。
そして、私の闘いモードが終わってみたら、先生も何かを感じたのか「もっと自分の人生を楽しまないと。お母さんが楽しむのが一番だよ」と診察室でシンディ・ローパーのMVを見せてくれるような状況に。「いや、懐かしいわ~」「若いわ~」と思いながら、思わず涙ぐんじゃったのでした。
長いお付き合いになるからこそ
いろいろな病院に行ってみましたが、雰囲気、待ち時間、考え方、対応、処方されるお薬はさまざまです。
アトピーの通院って結構エネルギーが要りますよね。風邪みたいに数回通えばOKというものでもないですし。
どうせ通うなら、納得して楽しく通える病院に通いたい。私は時間をかけて、いろいろな世界を見させていただいて、自分の気持ちを確かめながら、今の状態に落ち着いてよかったと思っています。
たくさんある選択肢の中から、どれを選ぶかは自由。どんなお付き合いをするかも自由。
どんな選択をしても、誰にでもいる、自分の「内なる名医」の存在を大切にしてくださいね。
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