「健康第一」
「体が資本」
「元気があれば、何でもできる」
健康であることは、確かに素晴らしいことです。
でも、健康でも幸せを感じられない人はいるんですよね。
幸せって?
これは、アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)の「人生における目的」の資料の挿絵。
昔、参加したアーユルヴェーダのイベントでいただいて、大事に保管していました。
アーユルヴェーダでは、人生の目的は4つある、といいます。
1 ダルマ(法)自己の本質を発見し、与えられた才能を発揮することにより人に奉仕する=使命
2 アルタ(財)相応な財を築く=信用
3 カーマ(愛)調和と安らぎ、目に見えない感謝、愛情、思いやり、祈りなどにより喜びのある人間関係をつくる
4 モークシャ(解脱)心の完全な解放を得、全人的健康を達成する=自由、純粋、透明、慈愛、智慧、歓喜、正しい判断力
アーユルヴェーダでは「健康になることが人生の目的ではない」といいます。
健康な生活を心がけ、病気を予防し、老化を予防しながら、与えられた寿命を生きつつ、自己実現をしていくことが人生の目的であると教えています。
病を治すことは目的ではない
子どものアトピーと闘っていた頃、久々にこの資料が出てきまして。
「一日も早くアトピーを治したい!」と必死だった私は、これを見てモヤッとしました。
母として、どうしても、子どものアトピーを治したかった。
治れば息子の可能性も広がり、やりたいこともできる!と思っていたからです。
「健康になることが人生の目的ではない」
それは分かる。
分かるけど…息子はこんなに痒いんだよ?
何とか治さないと自己実現もできないんじゃない?
…いや、何か大事なことを忘れているのかも。
このことについて考えたくなり、この資料を眺めるようになりました。
眺めれば眺めるほど、自分が「治療」にとらわれているように感じられました。
人生の目的は「治す」ことではない。
病は体からのメッセージであって、参考資料。
でも、「この子のアトピーを治したい!」という気持ちが強すぎて、いつの間にか人生の目的レベルに上がっていました。
「そっか、私、ズレてたんだ」と気付いて軌道修正をしようと思いましたが、どこに向かったらよいのかが分からない。
すっかり、迷子になってしまいました。
病気がもたらしてくれるもの
私は20代の頃、耳下腺腫瘍がありました。
30歳で手術して、その後遺症で顔面麻痺になりました。
顔面麻痺って、見た目の問題だけじゃないんです。
飲食する時、話す時、普段無意識に働いてくれていた筋肉が麻痺しているわけです。
うまく飲み込めなかったものは、鼻から出てきました。
水だけでなく、ご飯粒も、カボチャも(笑)。
そうなって初めて、自分の体に感謝の気持ちがあふれました。
「今まで思いが至らなくて、ごめんね。ありがとう」と。
感謝の気持ちは、幸せをもたらしてくれました。
だから私は、病は悪いものではないと思っているのです。
子どもの病気との向き合い方
自分の体と、子どもの体は違います。
多少の遺伝はあっても、別の体なのですから。
それでも「子どもの健康は親の責任」のような認識が強くあって、私は、子どものアトピーのことも自分の問題として、ずっと背負い続けていました。
「私が何とかしなければ」と。
でも、私がどれだけ頑張っても、疲弊し、自己犠牲感が強まるばかり。
「ひどい母親だな、私」と自己嫌悪していました。
心に余裕が持てなくなって「このアトピーがなくならなければ、私は解放されない」と思い込んでいました。
だんだん、アトピーが憎らしくなって。
「病は体からのメッセージ」なんて、思っていた頃の自分を思い出せなくなっていました。
何で、今はそう思えないのだろう?と不思議でしょうがなかったんです。
自分の病気の時との違い。
それは「自分への信頼」の有無でした。
自分の病気の時は「私は何があっても大丈夫」と思っていました。
「レアな経験をさせてもらっている」ぐらいに。
でも、子どものアトピーに関しては、弱気になっていました。
私のせいだ。私は無力だ。どうしたらいいんだろう…
罪悪感から、自己犠牲的に頑張るうちに自分を痛めつけ、弱気になっていたんですね。
どこにも希望の光が見えなくなって、むなしさに包まれていました。
そうやって落ちまくっていたわけですが…
子どものアトピーで私が落ちていたら、子どもも幸せではないですよね。
そこで、子どものアトピーを背負うことはやめました。
子どものアトピーは、子どもの体で起きています。
私が頑張って何とかしようとしていると、子どもは受け身になってしまいます。
世界で一番の名医は本人。
私ができるのはお手伝いのみ。
「この子は自分で治せる」と信じよう、と一線を引くことに決めました。
喜び、幸せを感じるために
それからは、子どもの肌ではなく、自分の気持ちを観察することにしました。
「あぁ、嫌だなぁって思っているな」
「何でそんなに嫌なの?」
「また傷だらけになると思ってる?」
「大丈夫だよ、前に比べたら、ずいぶんよくなったでしょ」
そんな対話を、自分とすることが日常になりました。
子どもを見ることが減ると、子どもは自分で何とかしようとすることが増えました。
おかげで、私も自分の時間が増えました。
自分の人生を楽しむことは、自分への信頼を増すことにも繋がります。
だんだんと
「息子はアトピーがあったから、今の息子になったんだ。
私は今の息子が大好きだから、アトピーに感謝だな」
と素直に思えるようになりました。
もう、あの資料を見ても、モヤッとしなくなりました。
息子は毎日やりたいことをやって、自分の考えや思ったことを言葉にして教えてくれます。
かわいい笑い声や鼻歌も聞こえてきて、幸せな気持ちになります。
アトピーが治っていなくても、アトピーから意識を離してみたら
「人生って楽しいね」
「子育てって楽しいね」
と思えるようになりました。
それが嬉しくて、あの「モヤッ」を無視せずに考え続けてよかったなと思います。
お子さんのアトピーが重度であっても、幸せを感じられますし、子育てを楽しめます。
お子さんも、ご両親も希望を持って暮らしていただきたい。
そう思って、無料メルマガ「アトピーと闘わない子育て」を書きました。
ご興味がありましたら、読んでみてくださいね。
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