データと写真の力

入院5日目。

夫がハンバーグを作って差し入れてくれました。

600グラムの挽き肉で、4個のハンバーグを作ったそうな。

1つの容器に2つのハンバーグと野菜たち✕2つ。

美味しそうな、でっかいハンバーグが2つ入っているから、1つずつ、息子と食べようと思いました。

私「半分ちょうだい」

息子「人参あげるね」

私「え、人参だけ?」

息子「エリンギもあげるね」

私「…ハンバーグは?」

息子「・・・」

私「息子にはお魚もあるじゃん。…じゃあ、いいよ。私、こっち(もう1つの容器に入ったハンバーグ)食べる」

息子「えーーーっ」

私「何よ。こっちも食べちゃダメなの?」

息子「分かったよ(ほんのちょっぴり切り分けようとする)」

私「息子のケチ。半分ぐらいくれたっていいじゃん。1個ずつだと思ったのにさ」

息子「分かったよ。半分あげるよ」

5日前に救急搬送されたのが嘘みたいな会話。

父ちゃんハンバーグを独り占めしようとするほど、息子は元気になってきました。

データは宝

息子が赤ちゃんの時からの検査データがあることを思い出し、医師(何故か今日は4人で登場)がいらした時に見せてみました。

「7ヶ月の時に◯◯医大で初めてやったアレルギー検査の結果に、カルシウム値もあったので、お見せしようと思って」

「オーソモレキュラー(分子栄養学)の先生にお世話になった時の検査結果もあります。これは年長さんの時のかな」

「今までやったアレルギー検査結果はこのぐらいありますし、何なら遅延型のもありますけど」

と息子ファイルを見せてみたら、心なしか医師たちの目がキラキラしているような。

医師A「見せてもらっていいですか」

医師B「それよりもコピーを取った方が」

医師C「コピー取っていいですか」

私「どうぞ、どうぞ」

医師たちからエネルギーを感じました。

こんなに喜ばれるとは。

データをファイルにまとめておいて、よかった。

夫に持ってきてもらって、よかった。

医師「かかりつけのクリニックの方にも連絡してみてもいいですか」

私「はい。今回の経過はざっくりお伝えしていますので」

今までのデータを共有したり、かかりつけ医と連携していただける安心感。

口頭でも一生懸命伝えてはいましたが、どうしても十分に伝え切れていない感覚があったので、これでまた一つ前進かなと思いました。

画像も宝

夜には、看護リーダーという方がいらして、今までの経緯や思い、困っていることや要望など時間をかけてお話を聞いてくださいました。

10分くらいお話を…とのことだったのですが、何やかんやと質問に答えているうちに1時間以上お話していたんじゃないかと思います。私の話が長すぎなのか…いや、でも息子の12年は一言では済まないんだもの。

入院してから一番、病院の皆さんとの意識のギャップを感じている、息子のアトピーについてもお話できました。

「息子を初めて見た方からしたら『ひどいアトピーだな』『痒そうだな』『つらそうだな』と思われるでしょうが、私たちとしては、血まみれになったり、ズボンがくっついたり、それを剥がして脱いだら粉がバラバラと舞い落ちたり、もっとひどかった時期があるので、その頃に比べたら随分よくなっていると感じていますし、今は回復途中と思っています。なので今『標準治療を』ということは、善意と分かってはいますが、振り出しに戻る、もしくはマイナスに戻ることを勧められているように感じてしまいます」

「学校に行きたくない、と言い始めた時も血まみれになって訴えられたので、私としては血まみれの息子を引きずってまで学校に連れて行こうとは思えませんでした。学校にも相談して今に至っています」

「今は、どんなに掻きむしっても、あの頃のように血まみれにはなりません。薄かった肌が、厚く強くなって、掻きむしりにも耐えられる肌になったんだと私は思っています」

などなど、言葉を尽くしましたが、言葉よりも、物を言ったのは1枚の写真でした。

顔中、血まみれの息子の写真。

衝撃的な写真なので、誰にも見せていませんでしたが「見たいです」とおっしゃるので、お見せしました。

すると、見た瞬間、息をのみ「これは…思っていた以上でした。ありがとうございます。今までのお話が繋がりました」とおっしゃいました。

その言葉を聞いて、「理解していただけた」という安堵の涙があふれました。

血まみれの写真も、アトピーがひどい写真も、一時は全て消してしまおうかと思ったこともありました。治ったイメージをするのに、過去に引きずられたくないなと。

だけど、取っておいてよかったです。こんなところで使うことは想定していなかったけれど。

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