誕生日前夜

明日は息子の12歳の誕生日。

12年前の今日は、まさか明日生まれるなんて思ってなかった。

５日前ぐらいに受けた検診で「もういつ生まれてもいいね」とは言われたけど。

予定日は８月５日だったから、まだ先だと思っていた。

当時は「せっかちくんだから早く出てきたのかな」と思っていたけれど、つわりがひどくて、妊娠中ずーっと気持ちが悪かった私を気遣って、早く出てきてくれたんだな。孝行息子だから。

そう、孝行息子だから、食べづわり、吐きづわり、眠りづわり、よだれづわりのフルコースも味わわせてくれた(笑)。

おっぱいをのむ力が弱くて、しょうがなくミルクにしていたある日、スイッチが入ったように「おれはミルクじゃなくて、おっぱいが飲みたいんだ！」と全身で意思表示をする息子に驚かされた。生後１か月にも満たない子が、こんなに主張するものか、と。言葉を話せなくても、気持ちがとても伝わって「これが本能か」と実感したし、赤ちゃんでもしっかり意思表示できる息子を尊敬した。

息子のおかげで「安全」だと思っていた「自然」が必ずしも優しいわけではないということも教えられた。あらゆるものに反応を起こす息子に、私は立ち往生した。ホラー映画のような怖い目にも遭った。息子が死んでしまうのではないかと思った日もある。そんな危機に息子を陥らせる私は、母親失格じゃないかと思ったこともある。

「よく、こんな私のもとで12年も育ってくれたね」と心から思ったことを言葉にしてみたら、息子が「『こんな』じゃないでしょ」と言ってくれた。

今こうしていられるのは、私の力ではなく、あなたの生きる力のおかげ。

生きていてくれて、ありがとう。毎日楽しい笑い声を聞かせてくれてありがとう。

これからもよろしくね。

めちゃくちゃかわいくて面白い、唯一無二の息子。