闘いの終わり

「手に入れよう」としなくなれば、より「手に入る」ことになるのだ。

なぜなら、すでにあるものにいっぱい「気づける」ようになるからだ。

(さとうみつろうさん著「悪魔とのおしゃべり」より)

優しい悪魔とみつろうさんの面白対話形式のこの本が、息子のアトピーと闘い続けた私の思い方を変えてくれました。

「治りますように」では治らない

「治したい」「治りますように」「治すぞ」「治そう」「治れ~!」

闘いモード五段活用とでもいいましょうか。

アトピーを克服するぞ!と闘志むき出しだった私は、こういう言葉を使っていました。

だけど、「悪魔とのおしゃべり」を読んで、これが秘かに呪縛の言葉になっていたことにハッとしたのです。

闘いモード五段活用は「治っていない状態があること」が前提の言葉。

当たり前でしょ? だから、そう思うんだもん。

それはそうなんだけど…「思考が現実化する」という視点で見てみると。

「治っていない状態」を思考→「治っていない状態」が現実になる…

えーっ! これ、何の意味もないじゃない? 言霊の無駄遣いじゃん。

ということが「悪魔とのおしゃべり」を読んで、腑に落ちたのです。

ちなみに「神さまとのおしゃべり」もあります。

現実になってほしいのは?

もちろん、私が見たいのは「治らないままの息子」ではなく「すっかりよくなった息子」。

それを現実にするには、その状態を思考するのが近道。

「よくなった」「よくなってる」「治った」「自分の肌を取り戻した」

「よかった」「ありがとうございます」…

今では、こうしてすらすら言葉が出てきますが、最初はなかなか出てきませんでした。

「治った」状態を誰よりも望んでいるはずなのに、なぜか言えない。謎の恐れがある。

私、嘘言ってる…みたいな。「だって、まだ傷だらけじゃない。そんなこと言えないよ」という自分が邪魔をしてきました。誰に言うわけでもない、独り言なのに、誰に気兼ねをしていたのか。

そんな自分に気付いて、驚きました。無自覚に自分をこの状況に縛り付けてたのは…この思い?

そう思ったら、一刻も早く打破したいと思いました。

小さな声で「治った」と恐る恐る言ってみたのを覚えています。なぜか決意とエネルギーが要りました。

一度言えたら、大丈夫と思えて、そのまま「治った」と何度も繰り返し、少しずつ声も大きく言えるように。

だんだん嬉しくなってきて「何でも食べられるようになった」「旅先でも大丈夫」と次々望みを口にしてみました。もう恐れはなくなっていて、私の内側が喜んでいるのだけが感じられました。

「治った」「よくなった」を日常的に

たとえ現状の息子は傷だらけでも、「治った」と言うことにすっかり抵抗がなくなった私は、息子に対しても「もう治ったから大丈夫!」と言うようになりました。

息子は初め、「母ちゃん、どうした?」という感じで不思議そうにしていましたが、私は「だって、治ったんだもん」と言い張りました(笑)。

しばらくそんなことを言っていたら、だんだん息子も「おれ、よくなったよね~!」と言うようになりました。思考は伝染するようです。ゲームをしている時も、「母ちゃんみたいに『できた!』って言ってたら、いけるよね」と応用もし始めました。頼もしい限り。

ありがとう

こうして自然と闘うのをやめられて、息子のアトピーは悩みではなくなりました。

そうしたら、ある夜、息子が眠りながらガリガリしている時に、ふと、私は「アトピーさん、ありがとう」と言えたのです。するとアトピーさんがキランっと喜んだような感覚があり、思いが通じたようでうれしくなりました。

以前は毎晩闘っていたんです。夜眠る前はずっと臨戦態勢で、眠りも浅く、慢性的な寝不足の日々でした。それが打って変わって、穏やかな気持ちで夜を過ごせるようになりました。今も夜中にガリガリすることがあっても「ありがとう」と言っていると、スーッと収まるようです。収まらない時は、トイレに行きたい時みたい(笑)。

思えば、アトピー、アレルギーのおかげで分かったことがたくさんあります。

搔き壊して痛くて曲げられなくなった関節部が曲げられるようになった喜び。

体の学び、食べ物の学び。これは息子の才能でもあります。

食べるもの、着るもの、住むところ、過ごす場所…息子に合う、合わないを試行錯誤しながら暮らすのは、とても難しかったけれど、そんな中での息子の心の成長が私の想像以上でした。

小1の冬「学校に行きたくない」と泣かれた時も、ものすごく掻きむしって血まみれになり、私は無理に連れていくことはしませんでした。そして「連れてきてもらえれば、あとはこちらで何とかしますから」という学校に、最終的に「見守りましょう」と理解していただけたのもアトピーのおかげでした。アトピーはあの時、息子の心を守ってくれたのではないかと思うのです。都合のいい解釈ですが。

時々、息子と「あの時は大変だったね~」「よくなったよね~」と思い出話として語り合い、しみじみしています。老夫婦みたいに(笑)。

闘うのをやめてみたら、既にあるものが見えてきたんですね。ありがたい。

絵を描いてみたら、もっと実現しやすい

思考は現実化する。

思いは具体的であればあるほどいいんだろうと思いました。

イメージって、言葉だけより画像もあった方がしやすいですよね。

そこで、息子がすっかりよくなった姿を絵に描こうと思いつき、ウキウキ気分で描いて壁に貼りました。

藍染下着姿のつもりが、半そで短パンだと思われた。いや、あなた短パンはかないよね(笑)

これを描いて数か月。本当に効果抜群かも。息子の状態はとてもいいです。

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