焼き芋屋さんになれるかな⑤〜窯づくり

焼き芋屋さんをやってみたい夫を中心とした我が家の記録「焼き芋屋さんになれるかな」第5回です。

最初から読みたい方はこちらからどうぞ。

豊富(とよとみ)温泉での湯治の合間に、夫はマイペースで焼き芋窯づくりの作業を進めていました。

心臓部の七輪

3月にホームセンターへ資材の下見に行った時には見ることができなかった角形の七輪を、初めての湯治から帰ってきた後、無事ゲットしました。

夫は、この七輪のサイズをもとに設計図を書いて、しばらく型枠の素材に悩みました。
蓋の部分は段ボールでササッと作っていましたが、本体部分はそうはいかないと思っているようで。

そして「やっぱり、スタイロフォームがいいな」と夫。

湯治生活中、豊富のホームセンターの一角で「これがスタイロフォームだよ」と見せられていました。
私は知りませんでしたが、断熱材なんだそうです。

というわけで、近所のホームセンターへスタイロフォームを見に行きました。
すると、大きいのと半分のサイズがあるのに、値段が全く同じということが分かりました。
作る手間は一緒だからってことかなぁ?
もちろん大きい方がお得だけど、残念ながら車に入らないぐらいデカいため、半分サイズを2枚購入。

「お店で切ってもらえないんだろうか?」
「車に乗せる前にバキッと半分こに折っちゃダメかな?」
私はいろいろと雑念が頭をよぎるけれど、こういう時は夫の方が潔かったりします(^▽^;)

そのほかにプラスチック段ボールややすり、幅の広いセロテープなどなど購入しました。

スタイロフォームで型枠づくり

さて、納得がいかないまま買ってきたスタイロフォームで型枠づくり。

意外とまっすぐ切れなくて、少々ストレスを感じる夫。
そういうことってあるよねーとなだめる私。

いつの間にか切り終わって組み立て始めていたので
「え、何でくっつけてるの?」と聞いたら
「つまようじ」とのお答え。

見てみると、つまようじが釘のようにグサッと刺さっていました。なぁるほど。

最後に、高さの調整を重ねて型枠が完成しました。

セメントとパーライトを混ぜて流し込む

いよいよ、セメントとパーライトと水を混ぜて型に流し込む作業に突入。
初めてのセメントは、事前に学んだようにはすんなりいかず。

水の分量はこれでいいのか?
思ったように液状化しないな…
パーライトは細かく砕いた方がいいんだろうか?

試行錯誤しながらの流し込み。

まずは蓋から。

真ん中にある楕円形の物体は、温度調節のための穴になります。

そして、本体。

この作業の途中、夫にパーライトの追加をせがまれ、買い出しに走りました。

やってみないと分からない分量ってありますよね。

ドキドキの型枠外し

3日ほど乾かして、型枠を外し始め…

「うわ、ガサガサだ、失敗だ」と落胆の声。

表面が滑らかではない。
芯材にした焼き網が露出している。
蓋と本体の隙間が空いている。

そういったことから「失敗」と感じたようです。
初めてのセメントだったし。
どれだけ勉強しても実際やってみて初めて分かることがありますよね。
「いや、これだけ作れたんだから、すごいっしょ。何が気に食わないか知らんけど、次に生かせばいいさね」

一度で大成功するとは思っていない私。
でも、ちゃんと形を成しているから、私の中では「本当にすごい」と思っていて。

「これだとお芋焼けないの?」と聞くと
「焼くのに問題はないと思う」とのこと。

「じゃあ、いいじゃん。焼けるんでしょ?」

そんなやりとりをして、夫は型枠をすべて外すのはやめて、もう少し乾かしておくことに。
そのまま2度目の湯治へ。

蓋と本体の隙間を埋めて、とりあえず初号機完成!

湯治から帰ってきて、蓋と本体の隙間を埋める素材について考え続けていた夫が「熱に耐えられるオーブン粘土か陶芸用の粘土が欲しい」というので、一緒に100円ショップへ。
すると、100円のオーブン粘土は量が少なすぎて、お話にならないことが分かりました。

やっぱりこれはホームセンター案件。
粘土売り場はどこか、サービスカウンターのお姉さんに教えていただいて2階へ。

ホームセンターに併設された陶芸教室の前で売られていた「陶芸用の粘土」に触ってみるとカチカチ。
「そういえば、陶芸用の粘土って、水をくわえて菊練りしなきゃいけないのでは…」と私。
「え、それは嫌だ」と夫。

陶芸用の粘土はあっさり却下されました。

オーブン粘土のようなものを求めてクラフトコーナーへ。

粘土の種類もたくさんあって、私が知らないものだらけ。
どれを選べばいいのやら。
私では判断できないので、老眼の夫のために、近眼の私が粘土の袋に書かれた文字を音読。
いくつか音読した末に、この子に決めました。

帰宅して、早速使ってみた夫が、これでもかというぐらい、この粘土を絶賛するのです。

後付けできる。

ちぎって付け足すのが楽。
水で伸びる。

やわらかくもなる。
手がくさくならない。

水で汚れが落ちる。
弾力がない。

押して戻ってこないので扱いが楽。
熱に強そう。

乾いてもひびが入らない。
表面が滑らか。

多分粒子が細かいんだろう。

よい買い物ができたようでよかった。
株式会社パジコさん、ありがとうございます。
貴社の粘土のおかげで、蓋と本体の隙間が埋まりました。

これでいつでも焼ける!

というわけで、次回いよいよ焼きに入ります。


夫の「やってみたい」を面白がりながら観察しています。
それは、まず自分の「やってみたい」を叶えた経験があったから。
「やってみたい」を叶えられるのは喜びだから。
失敗してもやってみることに価値がある。
どんなことも、いずれ糧になるから大丈夫。

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