低カルシウム血症と抜けた歯

入院3日目。ようやく地に足がついてきた気がします。

入院の経緯はこちら。

入院2日目、朝の血液検査で「予想以上に良かったです。まだカルシウムの数値は十分ではないけれど、もう痙攣を起こす心配はないです」と太鼓判を押され、ようやくもう1つの懸案事項、歯について歯科医師に診ていただけました。

抜けた歯の取り扱い

痙攣時に完全に抜けた歯は1本。プラプラしていたのが2本。グラグラが1本。

抜けた1本は救急隊員さんに相談し、濡れガーゼに包み、ビニール袋に入れて持参しました。

「48時間以内なら再生できるかも。生理食塩水か牛乳につけておくといいみたい」と夫からメールが来て、搬送先の病院で、生理食塩水を分けていただき、つけ置くことができました。

その後、プラプラしていた歯2本も取れてしまったので、一緒に保存。

歯を戻すには、とにかく早い方がいい。それは分かっているけれど、息子の場合、痙攣の心配があるため、すぐに歯を診ていただける状況になく。

ハラハラしながら常に歯を持ち歩き、その時を待ちました。

歯を入れるまでの経過

入院初日はとにかく検査と説明、入院手続きで精いっぱい。

口を閉じていれば、見た目には分からない歯のこと。痙攣時に歯が抜ける例は少数のようです。

手元に歯があること、入れられるものなら早く入れたいと思っていることを、搬送先でも、転院先でも伝えました。

入院2日目。朝の採血の結果を見て「もう痙攣の心配はない」と担当医が歯科医師に繋いでくださり、休日にも関わらず、急患扱いで診ていただけることになりました。

抜けた歯は4本。でも、手元にあるのは3本。1本のみ込んじゃったのか…やっぱりう◯ちも取っておけばよかった、と本気で思いました。

歯科医師いわく。

中には噛み締めすぎて埋没するケースもあるため、あと1本が中にあるかどうか、CTを撮りたい。

グラグラの歯は固定していれば、元に戻るから大丈夫。

歯が抜けた箇所は24時間以上経っているため、歯茎が修復作業に入っている。部分麻酔をして、そこを掘って入れることはできるけれど、たとえ自分の歯であっても異物とみなされ、定着しない可能性もある。それでも、やるかどうか決めてほしい。やるならすぐ取り掛かる。自分の歯が入れられなければ入れ歯になる、とのこと。

息子は、「麻酔」という未知の注射に恐れをなし「入れ歯でいい」と言い始めました。

でも、私たち夫婦は可能性があるなら、大切に取っておいた自分の歯を入れてもらいたい。たとえ1本足りなくても。

入れるなら一刻も早くやっちゃいたい、まだ諦めたくない、という思いがあふれて、息子との話し合いでは「最終決定は息子だよ」と言いつつも、「息子はできると思う!」「早い方が可能性は高まるよ!」とついつい語気が強くなってしまいました。

息子は、苦悩の末に「チャレンジ」と呟き、歯科医師に優しく誘導されながら大きな試練を乗り越えました。3本の歯はほかの歯とワイヤーで固定され、できるだけ動かさないよう、しばらくはやわらかい食事にするよう言われました。

ワイヤーを外すのは1ヶ月後。その後もしばらく治療は続くそうです。

病室に帰ってきてから、さっきまで頑張り屋さんだった息子が一転、ものすごく不機嫌な顔になりました。

あらら。やっちまったか。

でも、気付きのチャンス到来。

なかなか言葉を発しない息子に「どうしたかった?」「どう思った?」「気持ちを言葉にしてほしい」と話しかけていたら、「母ちゃんの圧がすごかったから、嫌でもやるしかなかった」と涙ながらに訴えられました。

そっか。私の圧、強かったか。

申し訳なかったと思うと同時に、言ってもらえてよかったなと安心しました。

私「泣いていいよ。怒っていいよ。もっと私を責めていいよ」

息子「なんで」

私「出てきた気持ちを我慢するのはよくないから」

大粒の涙が出てきました。それをティッシュで拭いて、はなをかませて。

「おれは何も悪いことしてないのに」

「母ちゃんがママカル切らしたから」

息子は、私を責める言葉を出せました。

「うん、うん、そうだね」

「でもね。せっかく歯が手元にあって、まだ可能性があるなら、やった方がいいと思ったんだ。自分の歯と人工の歯は違うから。エゴかもしれないけど。諦めたくなかった」と伝えました。

「お医者さんにはママカルを切らしたからじゃなくて、先天的なものかもって言われた。だからこの病院で調べてくれることになったんだよ」

「それに、食べ物だけじゃなく、日に当たるのも大事だって」

息子は、気付いたら寝息を立てていました。寝不足に加え、怒涛の展開に疲れたのでしょう。夕食の時間に目覚めたら、いつもの息子に戻っていました。

歯の痛み

歯を入れていただいて、まだ麻酔がきいているはずなのに「歯が痛い」。

どの歯が痛いのか聞いてみたら「奥歯」。左右どちらかと聞いたら「両方」。

でも、抜けた歯を入れたのは前歯。

どういうことだろう?と思っていたところに、タイミングよく歯科医師登場。「奥歯が痛いと言うんですけど」と聞いてみました。

すると「噛み締めた時に奥歯にも負荷がかかったんでしょうね。今までは前歯の痛みだったのが、麻酔がかかったことで奥歯の痛みを感じるようになったんじゃないかな」とのお答え。

前日の噛み締めの痛みが、まだ残っているのか。

それだけ強い力が働いたんだな。私の指もまだ痛いもんな。

納得できる理由が分かって、息子も「痛い」と言わなくなりました。安心はお薬。

歯は外来対応

歯を入れたことで、入院期間は延びるのか、主治医に聞いてみました。

「歯は外来対応できるので、入院期間は変わりませんよ」とのことでした。

入院予定は口頭では10日ほどと聞きましたが、書類には2週間前後と書いてあります。

初日から「早く帰りたいね」と言いながらの3日目。

あと1週間。

 

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