子どもの注射前の不安に寄り添う前に

この記事を読んでくださった方からご感想をいただきました。
ありがとうございます!

うちの息子は病院でされる「痛いこと」に弱いのですが、この方のお子さんも、どうやらお仲間のようで…

Aさん
Aさん

覚悟に至るまでのすったもんだ、うちも先月息子の採血でもめました。

「怖い」

「痛い」

「待って!ちょっと待って」

と訴える息子にできるだけ寄り添い、時間も取りましたが

結局最後は看護師さんたちに押さえられて強行採血…。

元ナースでどちらの気持ちもわかるので、心が痛かったです。

あぁ、目に浮かびます。
うちもそんなことを何度も繰り返してきました。
心痛むお気持ちもよく分かります。
お注射嫌いの親子にとって、採血って一大事業ですよね。

子どもの気持ちに寄り添いたい。
無理に「やらせる」のは本意ではない。
でも必要だからするのだし、看護師さんにお時間を取らせるのも申し訳ない…
私もそう思っていて、以前はどうしたらよいか悩んでいました。

私は自分の心の反応に意識を向けるようになって、この場面に遭遇した時、あることに気付きました。
スムーズに採血できたらいいな、という願いの奥にある思い。

今回は、我が家のケースを書いてみたいと思います。

息子と注射の歴史

1歳、2歳の頃の息子はお注射で泣くことも嫌がることもありませんでした。
嫌がるようになったのは「3回針を刺して失敗されたことがある」という悲しい思い出を引きずってのことでした。
「また失敗されるのでは…1回で済まないのでは…」と不安が募るらしいのです。

失敗を避けるため、血管が見えやすくなるよう湯たんぽを抱えさせられたこともあります。

今回ご感想をくださった方の息子さんとすっかり同じセリフ
「怖い」
「痛いの嫌だ」
「ちょっと待って」
の3点セットをただひたすら繰り返し、皆で押さえ込んで採血したこともあります。
どうやら押さえ込まれるのは嫌だったみたいで、その後は押さえ込まれそうになると「大丈夫」とお断りするようになりました( *´艸`)

長年手の甲から採血していたのですが、肘裏がよくなって、採血しやすくなりました。
が、息子は「肘裏より手の甲がいい。肘裏の方が痛く感じる」と言って、看護師さんに「え~!こんなにいい血管が見えているのにダメなの~?」と悲しませていました。
染み付いた思い込みは簡単には変わらないのがよく分かる例ですね(^▽^;)

それでも徐々に、肘裏からの採血が成功しやすいことが分かるようになりました。

私と「息子の注射」の歴史

そんな息子を、私がどう思っていたのか思い出してみると。

以前の私は
「あ~、またか」
「泣くよね~、やっぱりできないよね~」
「こんなのちょっと我慢すればすぐ終わるんだけどなぁ。それが難しいんだよなぁ(ため息)」
「先生、どうしても今日やらなきゃだめですか?」
といった感じでした。

これ、お注射嫌いな子の母「あるある」じゃないでしょうか?
ただ「心配」なだけなんですよね。
親心。

「怖い」
「痛いの嫌だ」
「ちょっと待って!」
という子どもに無理強いをさせたくない。
子どもがつらい姿を見たくない。

そんな自分に気付いて
「おやおや、うちの息子はそんなに弱い子なのかい? 勇者じゃなかったっけ」
と思いました。

そこで、私は、息子が注射する時は
「この子は絶対乗り越えられる」
と信じることに決めました。
よく言われますよね、「心配の眼鏡から信頼の眼鏡にかけ替える」
それをやってみました。

記念すべき第1回「息子はできる!と信じ切って採血に臨んだ日」、息子は思わぬ反応を見せました。

母ちゃん、手を握っててね。

おれが「うっ」て言ったら、名前呼んでね。

えっ?

(意味がよく分からないまま)

分かった。

そして、注射針がささった瞬間

うっ・・・(ガクッ)

(あ、そういうことか!)

息子ーーーーー!(泣)

お分かりでしょうか。
うちの天才子役は小芝居を打って、採血を乗り越えたのです。

楽しかったので、これからこれで完璧に乗り越えられるんじゃないかとほくそ笑んだのですが、これは1回だけで、残念ながら再演はありませんでした。

ですが、この時のように「この子は絶対大丈夫、乗り越えられる!」という信じていると、自分も、子どもも、出てくる言葉や行動が変わってきます。
いや、信じられないわ~!という時は、だまされたと思ってやってみてください。
タダですから(笑)。

ちなみに、息子と注射について、どう思っているのか冷静に話をしてみると、こんな見解のようです(個人差があると思うので、お子さんと話し合ってみると面白いですよ)。

痛いから失敗されたくない。

さすときが嫌。
カウントダウンしてほしい。

ささってしまえば、おれの勝ち!

・・・勝ち負けなのか?

それはさておき、どうしたら注射を乗り越えられるか息子なりに試行錯誤し、今では毎回看護師さんにカウントダウンをお願いするようになりました。
うんうん、成長してる。

「信頼」はお守り

子どもに限らず、人は、目に見えないところでものすごく考えています。

ご自分のことを思い返してみてください。
「表面では分からないだろうけど、私だっていろいろ考えているんだから!」
ということ、あると思います。

お子さんも同じ。
目に見えなくても、めちゃくちゃ考えています。
私たちの想像がつかないようなことまで。

そうやって、成長していくんですよね。
たくさん考えて、怖いことも、嬉しいことも、いろいろな感情を経験しながら。

お注射を嫌がって押さえつけられたのも経験。
心が痛むのも経験。
間違いとか失敗とかはありません。
だから胸を張ってください。
つらい経験は嫌だな、と思うけど「つらい」があると「幸せ」も感じやすいんですよね。

人には防衛本能があるから、当然不安にもなるし傷つくのを怖がります。
生き抜くために必要な力だから、そんな気持ちはあっていいんです。
怖がりな慎重派は生き延びる力があります。

そんな防衛本能と同じように、私たちには「よりよくなりたい」「成長したい」という本能があります。
これを忘れないように「この子にも、誰にでも、よりよくなりたいという本能がある」と呪文のように唱えていると、見えてくるものが変わりますよ♪

【関連記事】いろいろあっても、信頼って貯金のようにたまっていくんだなぁと感じたお話はこちら。

お注射に限らず、子育ては心配がつきものですね。
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